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松尾スズキ(著)「老人賭博」★★★
第142回 芥川賞 候補作品

老人賭博

■内 容

 雑誌掲載時に『現代演劇の鬼才が、人間の悪意と尊厳をユーモアとアイロニーに包んで描ききる問題作』と惹句が付いた作品

 顔面の内側が崩壊する奇病にかかったマッサージ師のボクが主人公。
 ある日、ボクが勤めるマッサージ店に、B級映画やホラー映画の脚本を手掛け、1本だけ監督をした経験を持ち、副業としてコラムを書いたり俳優やっている海馬五郎が客としてやってきて、ひょんなことからボクは海馬の弟子になっちゃう。

 そして、海馬が脚本づくりに携わった映画の撮影で北九州の町へと同行するボク。
 この映画で人生初で、恐らく人生最後の主演の座を得た老優・小関泰司が、セリフでNGを出すかを賭けた「老人賭博」が幕を開ける。

 地元のヤンキーや、共演のグラビアアイドル海らも加わったギャンブルの行方は・・・。

■感想など

 「そろそろ”松尾スズキ”を読んでおかないと」と、なんとなく”松尾スズキ未読”への焦りを感じて読んだ一冊。

 顔面の内側が崩壊する奇病だったボクは、治療を受け整形も施した結果「わけもなくつぶらな瞳の青年」に変身しちゃうという、のっけからナンセンスな物語。
 しかし、ボクという一人称の心の声「しのげ。無理にでも。今を。この1日を。」というフレーズに痺れちゃう。
 なんか、短いフレーズなんだけど、切実さだとか、自分を無理に鼓舞するボクの心情とか、諸々の感情がこもっていて、凄い気がする。
-◆-

 海馬五郎が、ボクに老優・小関泰司のことを、「・・・・俺たちはこうしてじいさんの話を聞いてるけど、決して、今、目の前にいるじいさんと会話しているわけじゃないだろ。
 じいさんの記憶のスライドショーを見せられているだけじゃない。そして、じいさんの方も過去を見世物にすることでしか、俺たちとコミュニケーションできないのがわかってるんだな。そこに横たわる圧倒的断絶が俺は哀しいのよ。だって、先生がじいさんの話に興味を持ってもだよ、だからってじいさんと友達になるわけにはいかないだろ。最後までつき合いきれないのに興味を持つのは、遺跡の見学者みたいで、なんだかさ、無責任で残酷じゃないか」
と語る。
 老人・小関と会話することを『じいさんの記憶のスライドショー』『遺跡の見学者みたい』と偏屈な視線で論じる海馬五郎が『無責任で残酷じゃないか』と言葉を締めるこの感覚が、普通の切り口とは違っていて凄い。

 ここいらが、松尾スズキが奇才たる所以かな・・・。
-◆-
 
 老優・小関をトチらす為に、わざわざセリフに早口言葉を入れたり、マチュピチュ遺跡を盛り込んだり、海馬は自分が賭けに勝てるように脚本をいじる。
 監督も賭けに乗ってるから、わざわざカメラの長回しをしてNGを出すように仕向けちゃう。
 賭けの対象になった老優・小関を取りまく俳優、スタッフが皆、小関のセリフに固唾を呑んで、賭けの勝ち負けを気にしてる・・・。
 バカバカしく、ブラックなクライマックスに爆笑してしまいます。

 最初で最後の主演に意気込み、老いと戦いながらも、自らのキャリアとプライドを賭けてセリフを頭に叩き込む小関と、彼の弟子でお世話をする山崎の悲哀も漂ってきて、笑いモノになってる老優・小関が滑稽でもあり、可哀相でもあり・・・・。
-◆-

 芥川賞候補作品であるから、以上の展開から何かのメッセージを読みとるべきかと思ってしまうのだけど、やや毒のある笑いが印象に残ったものの、深読み出来ずに読了。

 主人公が「顔面崩壊」→「わけもなくつぶらな瞳の青年」に変身したことを、もっと膨らませたら筒井康隆の初期作品的な不条理さも出せたかも・・・なんてことも、読後に少し思いました。


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日本文芸一般 | 20:41:57 | トラックバック(0) | コメント(0)
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