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ジェフリー・A.ランディス(著)「火星縦断」★★★★★
火星縦断火星縦断

NASAの現役研究者が描く、ローカス賞受賞のハードSF

■ストーリー
 第1次、第2次探査隊が帰還できなかった火星有人探査
 そして2028年、第3次有人探査隊が火星に到着。
 第2次探査隊が残した帰還船により地球へ向かう予定だったが、探査早々に帰還船に事故が発生し隊員の一人が死亡、帰還用の燃料も失われてしまう。
 残された地球への道は、第1次探査隊が使った探査船を用いることだが、この船は火星の赤道を超え、遙か極点へと火星を縦断しなければならない。
 極限状態でのサバイバルは成功するのか・・・。

■感想など・・。
 著者は物理学の理学士号、電子工学の理学士号および理学修士号、固体物理学の博士号を持つ現役の科学者で、NASAのグレン研究所で火星探査プロジェクトに携わる研究者。
 さすがに作中のプロジェクトは精緻に描かれています。
 読みはじめるとサバイバルモノらしい面白さ。
 著者は科学者ではあるが、カットバックを用いて登場人物を掘り下げるなど、ストーリーの組み方は「文系」
 読みやすく生硬さもない。
 560pの分厚さが苦にならず一気に読み進めることが出来ます。
 読了時には、「あーハードSF読んだなぁ」という満足感で一杯になりました。

 ただし、読後しばらく経ってみると感動にかけていたような気がしました。
 要するに後味があっさりしている。
 月を舞台にしたサバイバルSFの往年の傑作「月は地獄だ!(ジョン・W.キャンベル)」、「渇きの海(A・C・クラーク)」を若い頃に読んだ時みたいに“熱く興奮”できなかった気がします。
 読み手の小生が歳をとったせいなのか、作品の出来が違うのか・・・・。
 本作では、隊員達が比較的冷静に対処していて危機感が滲み出ていなかったのかな。
 作者が火星に詳しすぎるために、登場人物達が恐れを知らないのかもしれません。
 ラリイ・ニーブンあたりが書くと、もっとエンターテインメント性が色濃くなって面白かったかな?
 とはいえ、サイバー、バーチャル、ナノテクなどガジェットを羅列しただけの最近のSFとは一線を画した重厚な本格SF
 クラークやアシモフ、ハインラインたちが活躍した黄金時代を思い出す作品で、ギブスンが苦手なSFファンにはお勧めであります。


渇きの海 渇きの海

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